2012年2月 3日

* 夢と共に、50歳。


僕の50代最初の朝は、いつもと変わらぬ愛犬ルーリーの散歩から始った。
いつもと変わらぬ公園のいつもと変わらぬ道を、いつもと変わらぬ歩幅で歩いた。
いつもと変わらぬはずの景色や風、太陽の光が、いつもとは違って感じられた。

追憶...。

10代は春風のように過ぎた。
小学生の頃。群馬の自然に満ちた環境の中、友達と山で遊び、川で泳いだ。
夕焼け燃える田んぼ道を自転車で全力で駆けたものだ。
勉強はあまり好きではなかったが、生徒会長に選ばれた。
小さな恋もした。
ピアノを弾くのが好きだった。
中学受験をし私立の学校へ。
自由な校風の中、テニスやサッカー、読書など、心身ともにのびのびと過ごした。
高校生になると煙草は吸ったがバイクには乗らず、不良にもならなかった。
14歳でロックンロールに恋をした。
ギターを買い仲間とバンドを組み、新しいコードを覚えるたびにドキドキした。
コンテストに何度も挑戦したが、唯一もらえたのはゴミ袋で作った衣装が評価された「アイデア賞」だけ。
ベストギタリスト賞など、遠い夢のまた夢だった。
高校卒業を待てずドロップアウトし東京へ。
風呂もトイレもない小さなアパートで、ギターと一緒に暮らし始めた。

20代は冒険の時代。
同郷の仲間とバンドを結成し幸運にもデビューを果たすも、なかなか思い通りにはいかなかった。
今思えば、あの時の悔しさがその後の人生の糧となった。
ワゴン車に乗りライブハウスを廻った。
僕らのロールスロイスはクーラーが効かなかったけど、いつも笑い声に溢れていた。
23歳で結婚をした。
若い自分は大きな心に欠けていた。
初めて飛行機に乗り、ベルリン、ロンドンを旅した。
その後、バンドは爆発的な成功を手にした。
ある日、キャッシュカードの残高照会を見て驚いた。
機械が壊れたのだと思い、可能な額を急いで引き出した。
ビートルズのような日々を過ごし、ビートルズのように幕を閉じた。
それからはパスポートが真っ黒になるくらい、世界中を旅した。


30代は挑戦の時。
一度手にした栄光にすがることなく、常に新しいものを提示する姿勢を貫きたかった。
自分を壊し、また構築する。その繰り返しだった。
CMや映画など、ギタリストの仕事ではない世界にも挑戦した。
DAVID BOWIEとの夢の競演、アトランタ五輪閉会式への参加など多くのチャンスにも恵まれた。
世界中を飛び回り、幼い頃父に言われた「世界は広いのだ」という言葉を体感した。
様々な人種や文化に接することで、感覚を磨いた。
次から次へと沸き上がるアイデア。多忙でクレイジーな日々。
満たされていたけど、なぜかどこか淋しかった。

40代は自分を見つめるべき大切な時となる。
生死を彷徨う怪我を負ったが奇跡的に助かった。
多くの人々に支えられ、生まれ変わったような気持ちのリハビリ中、愛娘が誕生した。
原点回帰する思いでギターと向き合い、自分のスタイルを見つめ直した。
ギターを手にして30年目にしてようやく、ギターの弾き方がわかってきた。
ライブハウスに戻り、毎月違うメンバーとセッション・ライブを行った。
それはとても貴重な経験だった。
ギターを弾くのがまた、楽しくなってきた。
スーツが好きになった。
シンプルな生き方もいいな、と考えるようになった。
毎朝ルーリーと、いつもの公園のいつもと変わらぬ道を、
いつもと変わらぬ歩幅で歩くのが日課となった。
真夜中の静寂より、朝の太陽が好きになった。


20歳の頃、30年後の自分など、想像もつかなかった。
大人になんかなりたくなかったし、大人になんかなれないと思って生きてきた。
きっとそれは誰もが同じだろう。
年を重ねることは、若さを失うことであり、
自由奔放な生き方を奪われることだと、どこか怯えるような感覚がある。
しかし、生きている限り、時は流れ、人は年老いてゆく。
それを受け入れ、楽しみ、人生を満たしてゆくのは、自分次第。

穏やかな気持ちで迎えた50歳の朝。

美樹さんの作った和朝食を食べ、ルーリーとの散歩に出かける。
トレーナーと時間をかけて全身をストレッチした後、軽くトレーニングをし筋肉に意識を繋げる。
シャワーを浴びて白いシャツにブラック•タイを結び、スーツを着る。
迎えの車に乗り、コンサート会場に向かう。
楽屋入り口でいつものスタッフ達が「おめでとうございます!」と声をかけてくれる。
楽屋にはパスタが用意されている。
リハーサルのステージで愛すべきバンドと握手を交わす。
微笑み合いながら音を重ねる。
誰もいない広いホールにロックンロールが鳴り響く。
照明やカメラがその音を追う。
準備が整い、楽屋に戻り、メイクをしながら開演時間を待つ。

幕が開く。

歓声。

僕は、長い花道をギターと共に走りだす。

光の中、左足でステップを踏みながらギターをかき鳴らしながら、

僕は心の奥で叫んだ。

「ここまできたぞ」

と。


BLOG2.jpg

                                                                            (PHOTO by 山本倫子)


熱狂のステージから楽屋に戻ると母がいた。
「あなたの息子も50になりましたよ」と語りかけると
「信じられないわね」と微笑んだ。

その後、大切な仲間たちとのパーティーは夜更けまで続いた。



翌日、母から受け取った手紙を読み、胸がいっぱいになった。


お誕生日おめでとうございます。
今夜のコンサートは過去と未来の大切な夢がいっぱいのコンサートと思います。
美樹さん、愛娘さんに素敵な夢を差し上げて下さい。
私は日本一幸せな母と、嬉しく感謝申し上げます。
どうぞ、体を御自愛なさいますよう。




美樹さんからは「50代も素敵な旅人でありますように」と素敵な鞄をもらった。

娘からもらったキディランドの袋には、彼女がラインストーンでデザインしたという携帯ストラップが入っていた。

そこには

「I ♥ROCK」

というキラキラとした言葉。



素晴らしい家族やスタッフ、そして素晴らしい友人やファンの皆さんの祝福と共に迎えた50歳。
我ながら本当に幸せな男だと思う。
皆様、本当にありがとうございました。

そしてこの人生の大きな節目に、自分らしくいられたことを誇りに思うと同時に、
いつまでも夢を追いかける少年の瞳を忘れずに、カッコいい大人を目指し精進したい。


人生、まだまだこれからだ。




さいたまスーパーアリーナ、50歳のBIRTHDAY GIGに

花束の代わりにスティックを持って

まこっちゃんがお祝いに駆けつけてくれることになりました!


BOΦWY LAST GIGSから24年振りの共演となります!


二人のBEATが重なるのが今からとても楽しみです!

皆さんもどうぞお楽しみに!!!






50.JPG

30th ANNIVERSARY 第四弾
HOTEI THE ANTHOLOGY "最終章"
WE ARE DREAMER
~50th BIRTHDAY SPECIAL CELEBRATION GIG~

2月1日(水) さいたまスーパーアリーナ

Open 18:00
Start  19:00

お問い合わせ キョードー東京 0570−064−708









2月1日 さいたまスーパーアリーナのメンバーは「一期一会」ツアーバンド。
今、一番心が通じている魂をわけた兄弟みたいな男たち。


布袋寅泰 (GUITAR & VOCAL
井上富雄 (BASS & CHORUS
中村達也 (DRUMS & SHOUT
奥野真哉 (KEYBORDS & CHORUS
岸利至  KEYBORDS & CHORUS

コーラスには「創世記」「威風堂々」でも熱い歌声を聞かせてくれた

中村敦

そして今回の紅一点女性コーラスは

LOVE 
(Twitter  @loveyanen )

に決定しました!

華やかでしなやかな最高の布陣で臨みます!

どうぞ御期待下さい!


そしてもう一人のゲストは!!!


























明日発表しますね!
年も明けたというのに新年の御挨拶もできずごめんなさい。
賑々しく新年を祝うのも憚れるほど2011年の震災の記憶は生々しく
躊躇してしまったのも正直なところです。

それにしても昨年は30周年のアニバーサリー・イヤーであったと同時に、
震災以降、音楽の力をもって皆さんのうつむいた気持ちを少しでも力づけたい一心で
未だかつてないほど精力的に活動させていただきました。
ざっと振り返っても以下の通り。

2011年

  2月1日 第一弾 "創世記" 日本武道館で開催 「Greatest Guitar Medley」配信リリース
5月18日 SIngle「PROMISE」リリース
5月20日 第二弾  "威風堂々"国立代々木競技場 第一体育館
5月22日 大阪城ホール(5月22日)で開催 5月20日 「Greatest Guitar Medley II」配信リリース
7月30日・31日 COMPLEX「日本一心」<東日本大震災復興支援チャリティーライブ> 東京ドーム
  8月7日 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン 布袋寅泰 Presents『ベストヒット・イン USJ』
8月12日 「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2011 in EZO」
8月17日 ALBUM「ALL TIME SUPER GUEST」HOTEI with FELLOWSリリース
8月27日 『音楽と髭達2011』シークレット・ゲストで出演
  9月4日 『東京ジャズフェスティバル』リー・リトナー&マイク・スターンと共演
9月14日 LIVE DVD「"創世記"」「"威風堂々"」2タイトル同時リリース
9月19日 第三弾  "一期一会" MEMORIAL SUPER BEST TOUR 静岡市民文化会館 大ホールよりスタート


そして12月23日には念願の東北、仙台でのコンサートが実現出来ました。

それは昨年の活動のゴールとも呼ぶべき、感動的なフィナーレでありました。
今でもオーディエンスの皆さんの笑顔を思い浮かべると胸が熱くなります。

そして束の間の休息を家族や友人と南の島で過ごし、

2012 年 1月6日 名古屋国際会議場センチュリーホールよりツアー再開。
1月9日 大阪国際会議場メインホールにてツアー全25公演のファイナル
を無事終えることができました。

各会場に足を運んでくださった沢山のオーディエンスの皆さん、
そして僕を支えてくれたスタッフ、イベンター、及び関係者の皆さんに、
この場を借りて心からの御礼を申し上げます。

一瞬たりとも心がぶれることなく、全公演、自分の持てる力をすべて出し切ることのできた
生涯忘れることのないであろう充実した一年となりました。
震災は計り知れぬほどの悲しみと共に、前を向いて生きることの大切さを教えてくれました。
この経験は今後の活動において、間違いなく信念となって僕を支えてくれるでしょう。

大阪のファイナルの余韻に酔いしれぬ間もなく、いよいよ30周年アニバーサリーの最後のライブとなる、

30th ANNIVERSARY 第四弾
HOTEI THE ANTHOLOGY "最終章"

WE ARE DREAMER
~50th BIRTHDAY SPECIAL CELEBRATION GIG~


に向けての準備に入りました!
最高のツアーを共にしたバンド・メンバーに、コーラス隊を迎え(最終調整中です!)
ゲストも迎える予定です。
今回のステージは代々木での "威風堂々"のようにセンター・ステージを設置し
その周りにも150メートル以上のサイドウォーク(花道)もプラスされます。
全会場の皆さんにアプローチ出来る画期的なステージとなります。
照明、サウンド、舞台、と長年に渡るチームワークで僕を支えてくれた「布袋組」スタッフに加え
今回新たなる試みとして特殊な演出も導入されます。

50歳の記念すべき誕生日をファンの皆さんと共に過ごすことの幸せ。
30年間の歴史の中から選りすぐりの集大成と呼ぶにふさわしい選曲で、最高の一夜を過ごしたいと思います。
全国からのファンの皆さんが一同に会すその夜を、今から楽しみにしています!

寒さも厳しくなってまいりました。
どうぞ皆様、くれぐれも御身体御自愛のほど!



2011年は文字通り激動の一年だった。

2月1日の49歳の誕生日に日本武道館からスタートした30周年記念企画。

今まで僕を支え励まし続けてくれたスタッフやミュージシャン、家族や友人、

そして誰よりもファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えたいという思いから始まった2011年。


そして3月11日、悲劇は起こった。


その時、僕は東京の自宅にいた。

ガクンと大きな揺れを感じた時がちょうど娘の下校時間と重なっていた。

激しく揺れる大木や電線を見て、まさかこの状況の中、子供たちはいつもの通学路を歩いているのでは!?

そう思った瞬間、僕は学校に向かって走りだしていた。

いや、実際はあまりに揺れのため、とてもまっすぐ走ることなどできなかった。

幸い子供たちはまだ学校から出ておらず校庭に集まり、先生の声を聞いていた。

安全確認ができるまで校庭からお出しできません、と先生の声。

日頃の避難訓練の成果か、子供たちは比較的落ち着いた様子で先生たちの指示に従っていた。


門の外で待つしかなくなった親たちは情報を得ようと必死になった。

しかし携帯電話は全く繋がらなかった。

そんな中、僕がたまたま今年から始めたTwitterから新しい情報がどんどん流れてきた。

震源地が東北地方であることを知り僕は動揺した。

なぜなら美樹さんがドラマ「冬のサクラ」の撮影ロケで、早朝から東北方面に向かったことを思い出したからだ。

ドラマ班とは電話が繋がらなかったがTwitterのフォロワーを通じて彼らは東北には向かっていないことを知った。


TwitterのTL上では大津波が襲来との情報が、リアルタイム映像のリンクと共に何度もRetweetされた。


信じられない映像が次々と流れ、あまりの衝撃で身動きできなかった。

仙台に住む親戚の無事を祈った。

そして思い出の数々が蘇る。


幼少の頃、親戚を訪ね毎夏休み訪れた岩手県釜石市。

どこまでも深い蒼色に澄み渡った美しい陸中海岸。

毎朝活気にあふれる魚市場。

情にあふれる人々の笑顔。


3月11日以前の日本にはもう戻れない。


その後、誰もが自分という存在の無力さに打ち拉がれたのではないだろうか。

僕もその中の一人だ。

悲しみと恐怖に心を支配され、報道をただ見つめ、身動きすらできない弱い自分がいた。

恥ずべきことに「音楽など無力だ」とさえ思ったことを告白する。


自分ができることは何か?

自分がすべきことは何か?

自分がしたいことは何か?


自問の日々を繰り返し、たどり着いたのは


『自分のできることを誰かの為に精一杯やるしかない』


というシンプルな答えだった。


思えばこの30年間僕は

自分の腕を磨き、自分のスタイルを築き、自分に挑み、自分を高め、自分を壊し、自分を超える。

言ってみれば「自分を基準に」音楽と向き合ってきた。

それを許してくれたのが、僕を信じ、僕を支え、僕にエールを送ってくれた皆さんだ。

そう、冒頭に記したように『感謝の気持ちを伝える』ことにすべてを捧げることが

今僕にできるささやかながらも最大の恩返しであると心に決め、今年は一心不乱に突っ走った。


武道館、代々木競技場、大阪城ホール、東京ドーム、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、

国際フォーラム、渋谷公会堂、そしてツアーでは久しぶりに全国各地を回った。


一年間でこれだけのスケールのライブをやったことは、30年の歴史の中でも初めてかもしれない。


自分の音楽、ギター、BEATのすべてを奏でると、目の前のオーディエンスが眩いばかりの笑顔で声援を返してくれる。

抱きしめ合うような、優しく温かな時間を共有する。

何度も目頭が熱くなる瞬間があった。

「誰かのために」という想いをぶれることなく貫いた結果、僕のギターは今までの何倍も豊かになった気がする。

心とギターが直結したかのごとく、音そのものが僕の気持ちであり、言葉であり、魂の叫びとなる。

30年目にしてやっとたどり着いた、ギターとのひとつの境地。


過酷なスケジュールが身体に堪えない、と言えば嘘になる。

しかし「誰かのために」と思えば乗り越えられる。

東北にはもっともっと頑張っている人たちがいるのだ、

そう思うと泣き言など言ってられない。



そんな2011年のラストステージは仙台サンプラザ公演だった。


釜石の親戚一家や、仙台に転勤になり被災した高校の同級生も客席にいた。

ライブ前にTwitterや手紙で「過酷な日々が続いているけど、この日だけを楽しみに頑張ってきた」

といった内容の言葉をたくさんいただいた。

仙台からだけではなく、東北各県からのお客さんが会場を満員に埋めてくれた。

自分にとっても「仙台でライブをやること」は間違いなく特別な想いに溢れていた。

そしてそれは今年の活動において信念を貫き走り続けたひとつのゴールでもあった。

幕が上がり大歓声とともに始まった「宇宙一のロックンロールショウ」。

拳をあげて歌い、叫び、踊り、ジャンプし、手を振り、見つめ合い、

笑顔と涙がひとつになって、心と身体が生まれ変わるように熱くなる。

心と心で抱きしめ合って、奇跡のような瞬間の連続だった...。


「いつかまた、今日の笑顔で、いや、今日よりもっと輝いて、

 また会うことを約束してくれないか?」


そんな僕の言葉に、みんなが笑顔でうなずいてくれた。



2011年を一生忘れない。


自分は自分らしく、自分のできることを精一杯やればいい。


単純なことだけど、難しいことだ。


今、私たちには目標がある。


子供たちへの豊かな未来を作る、という目標が。




海の音が聞こえる南の島でこれを書いている。


透き通った風、太陽のきらめき、豊かな緑、

聞いたことのない小鳥のさえずり、異国情緒溢れる大きな花、

そしてミニマルミュージックのような止まらないさざ波...。


楽園にいても、体内の音楽は止まらない。



皆さん、今年は大変お世話になりました。

代々木公演やCOMPLEXではチャリティーに参加していただき、ありがとうございました。

皆さんの声援があったからこそ、今年は全力疾走することができました。

来年の一月、名古屋と大阪公演にてツアーも終了。

そして2月1日にはいよいよ50歳記念バースデーライブが開催されます。

また温かいオーディエンスに会えるその日を今から楽しみにしています。

どうぞ、御身体御自愛のほど。

心穏やかな年末年始をお過ごしください。


もう一度。


2011年、本当にありがとうございました。


IMG_0492.jpg




















先日ロンドンを訪れた際、古き友人のヴィクトリアの家に招かれた時の話。
「日本でも月額定額制の音楽配信はポピュラーなの?」
と、小さなコントローラーでまるでジュークボックスを操作するように
彼女のお気に入りのアーチストを検索し、次の瞬間にはクリアなサウンドがキッチンを満たしていた。
月極の一定額を支払うことでライブラリを共有し、好きな曲が好きなだけ聴けるのだという。
日本では様々な権利問題等が絡み実現には時間がかかるであろうが「未来は今」、
音楽の形態はここまで変わったのだ、と実感した。

1962年生まれの僕は完璧なアナログ世代。
音楽を聴く手段は、レコードを買うか(貸しレコードはなかった)ラジオを聞くか、の二者選択しかない。
ラジオをエアチェックしてカセットに録音しても、何度も繰り返し聞いているとテープは劣化し回転数が落ち
悪魔の呪文のような、海底民族の宴のような、恐ろしくも悲しい音楽と化す。
当時のレコード盤は中学生のお小遣いではせいぜい月に一枚のアルバムを買うのがやっとで
現在のようにインターネットもYOU TUBEも、フリーペーパーもメルマガもない時代であるから情報など皆無に等しく、
限られた音楽誌のレビューかレコードショップのお兄さんお姉さんのお勧めか、
もしくは超感覚的にレコードの帯の宣伝文句やジャケットのアートワークに頼るしかなく、
一枚レコードを買うということはある種の賭けに近い感覚だった。
アナログレコードは傷ついてしまったらおしまいなので、まるで宝物を扱うように慎重にジャケットから取り出し、
また、ステレオのターンテーブルにのせ針を落とす瞬間など、息を止めるのが当たり前でそれはそれは緊張したものだ。
今のようにスキップ機能などあるはずがなく、一度レコードに針を落としたら、A面が終わるまで聴くしかない。
その頃のジャケットのアートワークはぶっ飛んだものが多く、それを眺めながら
時には宇宙旅行、時には砂漠の一本道を爆走し、時にはアフリカの大地へ、そして時には夜のパリの街にワープした。
あの時、音楽に自分のすべてを委ねた時間は、僕と言う人間の大切な部分を形成した貴重な経験であることは間違いない。

30年前に運良くもバンドでデビューを果たし、念願の「自分のレコード」を作ったときの喜びは忘れられない。
発売日にレコードショップに行って、自分のレコードを目立つ位置に並べ替えたりしたものだ。
そして間もなく「レンタル・レコード」が出現した。
一人に一枚の宝物から、皆で共有できるシステムが成立し、そして今、音楽は形をなくし、
小さな端末に膨大な量の音楽が持ち運べるようになった。

ある日、所属事務所の社長が
「布袋、形ある音楽を残す最後のチャンスは今かもしれないぞ」
と、今回のBOX SETのアイデアを語り始めた。
彼の話を聞いているうちに「これは未来へのタイムカプセルなのかもしれない」と思った。
アナログレコード、CD、DVD、という僕が辿った「音楽」を、目に見える形で残したい。
スタッフとともに約一年がかりで編集、リミックス、リマスタリングを施し、
未発表の音源と映像を収録した、オリジナルアルバムだけでは伝えきれない
「布袋寅泰」という音楽家のすべてを感じてもらえる、文字通り集大成と呼ぶにふさわしいBOX SETが完成した。

まずは、ギタリズムシリーズがすべてアナログ盤として復刻された。
これは僕にとっても最高の宝物だ。

そして「架空のサウンドトラック集」には、結婚披露パーティーに参加してくれた皆さんへのプレゼントとして配った
美樹さんと二人で録音した映画「男と女」のテーマ曲や、上海オペラの為に書き下ろした10曲の舞踏音楽、
ハリウッドからオファーを受けたものの結果的にプロジェクト自体が消滅したホラー映画音楽などが収録されている。

「アコースティック集」には以前NHKでディスクジョッキーを担当していた番組で披露した弾き語りなどが収録された。

「インストルメンタル集」にはCMの為に制作した音楽が、「DANCE集」には、おなじみの曲のバージョン違いが、

さらに「ライブCD」として、昨年マンスリーで行ったリキッドルームでの緊迫感溢れる演奏や、
現在進行中の「メモリアル・スーパー・ベスト・ツアー」の模様も収録。

DVDには1998年にフランスで行われたベルフォート・フェスティバルに出演した時の映像や
ドイツのライブハウスでのショーケースの模様、それらを振り返るインタビュー。
品川ステラボールで行われた中村達也、TOKIEとの3ピースによる白熱のライブが収められている。

その他にも、すべてのシングル、そしておなじみの曲達のレアなバージョン、未発表曲などなど
詳細はホームページに記されたものを確認して頂くとして、とにかく盛りだくさんの内容である。

アートワークを手がけてくれたのはBOφWY後期からCOMPLEXのすべてを手がけてくれた永石勝さん。
凛とした美しいデザインは永石さんならではのもの。


僕の50歳の誕生日である2月1日にリリースされるこの『HOTEI MEMORIAL SUPER BOX』。

重くて邪魔で、無意味なモノかもしれない。

しかし、僕にとってはかけがえのない『宝物』なのである。

大切な人と、大切に分かち合いたい。

高価なものだけど、内容は価格以上のものであることを、ここにお約束しておく。

どうぞお楽しみに!


BOX.JPG

hotei_box_h1_s.jpg

tenkai_s.jpg




映画「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」のテーマソング

「ミッション:インポッシブルのテーマ」

の着うたフル(R)/着うたフルプラス(R)/PCの
配信がレコチョクiTunes、その他PC/モバイル配信サイトにてスタートしました!

先日トム・クルーズさんにお会いした際も、彼もとても気に入ってくれている御様子で
今回参加させていただけて本当に良かった思います。

不滅の名曲のアレンジに挑戦した布袋流「ミッション:インポッシブルのテーマ」
豪快で疾走感溢れるスリリングな仕上がりになっています。

どうぞ皆さんで是非ダウンロードしてお楽しみください!

映画好きのお友達にも是非御紹介くださいね。


_AAA4046.jpg

_AAA3918.jpg


小春日和とも呼びたくなるような暖かな日があったかと思えば
前日から10度も気温が下がるような寒暖差の激しい日々が続いたが
我が家の庭の木々もようやく色づき始め、秋が来た。
北の国からは雪の知らせも届いた。
毎年季節は巡り、特に年の瀬が近づくと、そのスピードの速さに驚くものだが
今年は3月11日の記憶が未だ生々しく、厳しい季節の到来を素直に喜べぬ自分がいる。

30周年記念ツアーはどの会場も満員のお客さんと共に、過去最高の盛り上がりをみせている。
荘厳なSEと共に幕が上がり一曲目が始った瞬間からバンドとオーディエンスが一体となる。
ただ拳を突き上げ叫ぶのではなく、ハートとハートで抱きしめ合うような
涙が出そうなくらい幸せに満ちた瞬間の連続だ。
30年目にしてたどり着いた理想のステージがそこにある。
長きに渡ってのファンの皆さんと、初めてご来場いただく新しいファンの皆さんが
心を一つにして声援を送ってくれることが何よりも嬉しくてて
気づけば僕も笑顔になっている。
今までで一番笑顔が多いステージではないだろうか。

先日の福岡でのライブでは、隣の会場で矢沢永吉さんが、そしてその隣では大相撲九州場所が行われるということで、
リハーサル終了後、矢沢さんの楽屋に御挨拶に伺った。
NHKで共演した以来だから、ずいぶんとご無沙汰をしてしまった。
お忙しい中、快く楽屋にお招き下さった矢沢さん。
いつものような包容力のある大きな微笑みで「久しぶり!」と右手を差し出してくれた。
いつお会いしても本当にジェントルマンな立ち振る舞いで惚れ惚れする。
こんな素敵な大先輩をもった我々は幸せだ。
自分も気づけば50歳を目の前にした大人の男。
矢沢さんを見習って、後輩達にそう感じてもらえるミュージシャンを目指したい。
「隣で演るんだって?お互い頑張りましょう!」
ガッチリ握手を交わし楽屋を後にすると、僕が乗った車が走り出すまでお見送り下さった。
その優しさに胸が熱くなった。
矢沢さん、ありがとうございました。

YAZAWA.jpeg


そんな矢沢さんとの再会もあって気合い充分の福岡ライブはしょっぱなから大盛り上がり。
PAエンジニアは毎回、オーディエンスの大歓声と歌声の大きさに驚きながら格闘している。
会場によってはPAのバンドの音がかき消されるくらい、オーディエンスが熱い。
バンドも一回り大きく成長したと思う。
音をぶつけ合うのではなく、受け止め合うことができるようになってきた。
豪快なスピード感と優雅な乗り心地こそロックンロールの美学なり。
スタッフとのコミュニケーションも万全で布袋組は今、絶好調だ。

メンバーと一緒に美味しいもつ鍋とワインでライブの余韻を楽しんでいると横綱白鵬からメール。
場所中だし、優勝までもう一歩という大事な時期だからお会い出来ないと思っていたが
「せっかく博多にいらっしゃるんですから会いましょうよ!」
と嬉しいお言葉。
突然の横綱の参加にメンバーもスタッフも緊張するが、そこはなんとも懐の深いお人柄。
皆の緊張をほぐすかのように柔らかで美しい日本語で会話は弾み、あっという間に和やかなムードに。
貴乃花親方がそうであるように、やはり戦いの頂点を極めた男はなんとも優しく力強い。
我々には計り知れない重圧の中、己がぶれることなく、勝つことにすべてを賭ける生き様は神々しい。
横綱からモンゴルの話を聞くたびに、一度は是非訪れてみたいと思う。
日本に来た時は70キロしかなく、初めて相撲の稽古で先輩に当たった時は震え上がったというモンゴルの狼は
大空を舞う伝説の龍となった。
今後の益々の御健闘を陰ながらずっと応援させていただきます。

YOKOZUNA.jpeg


最後にもう一つ。
福岡のライブの最前列で一曲目から楽しそうに踊りながら、ずっと歌ってくれていた小さな女の子がいた。
きっとお父さんもお母さんも僕の音楽が好きで、赤ちゃんの頃からずっと聞いていてくれたんだろうな!
なんて胸を熱くしながら踊る小さなその姿を見ていました。
アンコール最後の曲が終わり、僕はその子を客席から抱き上げてステージにあげた。
「布袋さんのこと好き?」と訊いたら、マイクに向かって「好きー!」と言ってくれました。
終演後、ファンの方から教えてもらい知りました。
大の布袋ファンだったおばあちゃんはガンで亡くなられたのですってね。
そしてライブはパパとママからの8歳の誕生日のプレゼントだったんだってね。

誕生日おめでとう!まゆちゃん。

またライブに来てね!

また布袋さんと、パパと、ママと、

そして天国のおばあちゃんと一緒に歌おうね!


忘れられない福岡への旅となりました。







2011年11月10日

* TwitterとBlog

東京はここ数日ですっかり秋めいてまいりました。
仄かに冬の香りを風の中に感じるほど、朝晩はキリリと冷え込みます。
いわし雲を見上げながら北の被災地、復興地を思うと、
今年は秋の形容詞を連ねる気持ちにはなれませんが、
ものごとをじっくり考える有意義な秋にしたいと思います。

すっかりブログの更新を怠ってしまいました。
日々その時々の出来事や思いつきなどTwitterにリアルタイムで打ち込むようになり
なかなかじっくりと自分の想いを綴る時間が作れず...。
日記帳を長い間放ったらかしにしているような後ろめたさを感じながらも
充実した毎日を送っています。

Twitterにアップした写真を振り返るだけでも

ブライアン・セッツアーとの再会

416466699.jpg

ツアー各地での熱狂ぶり

nwu8khhj-tw1.jpg

最近のプライベート・モード

421801270.jpg

旅先でのスナップ

422476512.jpg

楽屋の様子

424098662.jpg

ルーリーとの朝の散歩でみつけた美しい花

431471876.jpg

オフの日のドライブ

433041100.jpg

美樹さんのライブ

7606yg.jpg

マーク・アーモンドとの再会

438888766.jpg

FPMの田中君とのロヴェルト・カヴァリのPARTYでのシークレットライブ

439076534.jpg

高橋まことさんとの久しぶりのツーショット

440584260.jpg

などなど、我ながら盛りだくさんの内容を毎日Tweetしています!

フォロワーの皆さんは僕の「おはよう」から「おやすみ」までの多くの出来事を共有していることになります。
様々な人々の様々な視点や考え方を通じて視野も広がるTwitter。
登録は簡単ですし、まだ未登録の方も是非登録&フォローをしてくださいね。
Twitterも永遠に続けるとは限らないし、今の布袋寅泰を感じ取っていただけたら幸いです。


とはいえ、やはり瞬間の羅列がTwitterなら、じっくり自分と向き合いながら綴るブログの良さもあるはずです。
今後も徒然なるままに、あまり間を空けずにこちらも更新しますのでどうぞよろしく。

なんと言っても今一番嬉しいのは告知された通り
僕の50歳の誕生日に「さいたまスーパーアリーナ」でのライブで30周年を締めくくることが決定したこと!
今回のツアーはすべての公演がソールドアウトをいう本当に有り難い状況。
チケットを手に入れることができなかった多くの皆さんも是非
2月1日のこのライブにお出かけ下さいね。


30th ANNIVERSARY 第四弾
HOTEI THE ANTHOLOGY "最終章"
WE ARE DREAMER
~50th BIRTHDAY SPECIAL CELEBRATION GIG~

さいたまスーパーアリーナ
2012年2月1日(水)
チケット代金 / S席:7,500円(税込)
チケット一般発売 2011年12月17日(土)


ツアーもいよいよ中盤戦に突入しました。
残りの公演を楽しみにして下さっている皆さん。
最高のステージをお届けすべく、メンタル及び体調管理を万全にし全公演に臨みます。
どうぞ御期待下さい!



TVシリーズ「スパイ大作戦」の頃から大好きだった名曲、
『ミッション:インポッシブル』のメインテーマを布袋色に染めました!
いつか必ずカバーしたいと思っていたので、大変嬉しいオファーです。

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のTV-CM他、
様々なプロモーションで起用される予定です。

主演、制作のトム・クルーズは僕と同い年で、奇遇にも今年俳優活動30周年とのこと。
HOTEI VERSIONも彼の元に送られたとのこと。
聴いた瞬間ニンマリしてくれること間違い無しの最高の仕上がりです!
映画同様、僕の手がけたメインテーマも、どうぞお楽しみに。


『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
12月16日(金)より日本公開
■Official HP
http://www.mi-gp.jp/