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PARADOX OFFICIAL INTERVIEW

取材・文:平山雄一

――布袋さんが作詞した「Dreamers Are Lonely」は、まずタイトルがすごい!タイトルの一言で、大切なことを言い切っちゃってますよね。

▼うん、こういう曲は歌い続けていかなきゃいけないな、と思っています。決してただ無責任に「夢を追いかけようぜ」っていうだけの曲じゃないんです。僕にとっては今の自分がある意味、血のにじむような思いで未来に立ち向かっているから、夢という言葉は生々しいし、僕と僕のファンは、共に年を重ねながらいろんな思いを共有している。人生、上手くいってる奴もいれば全然上手く行かない奴もいる。何度もやり直してる奴だっているよね。長いファンは30年以上も一緒にいるわけですから家族と同様ですよね。「おい、お前。元気でやってるか? 無理するなよ」っていう想いと、「まだまだ立ち止まらずに、もうちょっと先まで行こうぜ」っていう想いがある。
海外でやりたいと思って、アルバムを制作してリリースまで、とんとん拍子ではないけどどうにかこぎ着けることができて、やっと夢の扉を開き、目の前の世界が無限に広がったように思ったけど、この詞のような“行き先の見えない水平線”みたいな、「俺、船を出したものの、一体どこに行くんだろう?」っていう気持ちが、いまだにありますからね。見えないところに向かってる不安と孤独が常に胸の中にある。
家族もいてスタッフもいて、こんなにたくさんのファンに恵まれてるのだから、孤独という言葉は違うだろう?と思われるかもしれないけど、そこに向かうのは自分だけの意志ですからね。「独りだ」という想いはいつもある。

――孤独がテーマだから、自分で歌詞を書こうと?

▼そうですね。きっと人間は皆、孤独からは逃れられないと思うし、これは人に委ねず自分で向き合うべきテーマだと思います。ただ、今回は歌詞の世界観も重要なテーマであるけれども、やっぱり音楽を作っているのですから。、言葉をどんなサウンドやスタイルで表現するかということがとても大事でした。僕は今回のアルバムの中で「Dreamers~」の左側のスピーカーでゆったりと鳴ってるサイドギターが一番気に入ってるんですよ。今までできなかったことがやっと表現できるようになった。たゆたうような大人のロックギターが、やっと弾けるようになった、と嬉しく思うんですよね。
スティングのように成熟したロックを見てると、成熟ってシンプルな中でいかに1音1音に説得力を持たせることができるかっていうことだと思う。今回は全曲に対して、そういったことを徹底したつもりです。

――僕はこの曲のギターソロもすごく好きだなあ。

▼すごくナチュラルだしね。自分ではあんまり意識していなかったけど、布袋ギターを語ると熱くなる小渕くんやマネージャーが「これぞHOTEIさんです!」と拳を上げてました(笑)。
そして何より今回は歌を、言葉を一言一言、語尾までこだわって丁寧に歌えましたね。自分でレコーディングしたのが良かったのかなぁ?(笑)自分がいちばん自分の歌をわかってるつもりですよ。自分のダメなところも、いいところもわかってる。だけど今まで乗り越えることができなかったハードルを、今回は超えられたと思います。何度も何度も「これじゃない、これじゃない」って、自分を追い込んでいきましたから。

――「Strawberry Fieldsの太陽」には、布袋さんにとってのロック・ヒーローがたくさん登場しますね。

▼ボウイはもちろん、ジョン・レノン、僕はプリンスからもすごく大きな影響を受けています。僕たちの輝くロックスター、僕たちの人生を変えた眩いヒーローたちに対しての、リスペクトと感謝とさよならを捧げる曲になりました。
アルバムではそんな自分のバックグラウンドとなったフレーズやサウンドをあちこちに散りばめました。隠れフレーズでデヴィッド・ボウイの「ファッション」のイントロが、「Pandemoniac Frustration」のソロに入っていたり。宝探しのように聴き込んで探してみてほしいです。

――この歌の♪ゴロワーズを愛し 墓碑銘(エピタフ)を刻み♪というフレーズは、今年亡くなったかまやつひろしさんに捧げたんですか?

▼もちろん! 僕がローリング・ストーンズと共演した後、かまやつさんから1通のメールが届いたんです。あの共演には「やったね!おめでとう!」という好反応ももちろんあったけど、ネットには辛辣な感想も多く、実は結構傷ついたんです。東京ドームの翌日、ロンドンに戻る飛行機の離陸前に届いた、かまやつさんからのメールには一言だけ「僕たちの夢を叶えてくれてありがとう」って書いてあったんです。

――ああ、ステキですね。

▼その一言が本当に嬉しくてさ。その後、日本に帰ってお会いするたびに「ねえねえ、聞かせてよ、聞かせてよ、ミック、どうだったのよ?」とか、「キースはどうだったのよ?」って少年のような瞳と笑顔で聞いてくれました(笑)。

――かまやつさんらしいですね(笑)。

▼自慢話に聞こえるかもしれないけど、ストーンズとやるのって、ひょっとしたら人類が人工衛星に乗って火星に行くよりも確率が低いじゃないですか!