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PARADOX OFFICIAL INTERVIEW

取材・文:平山雄一

――かまやつさんらしいですね(笑)。

▼自慢話に聞こえるかもしれないけど、ストーンズとやるのって、ひょっとしたら人類が人工衛星に乗って火星に行くよりも確率が低いじゃないですか!実際にステージで体験したローリング・ストーンズはものすごかったし、そんな話をするとかまやつさんはさらに目を輝かせて、「もっと聞かせてよ、もっともっと!」って。

――いい人ですねえ(笑)。

▼うん!(笑)あんな素敵な人がいなくなるのはさみしい…。しかし彼はさみしさではなく、眩しい光を放ったまま鮮やかに旅立った。だからこの歌は、“星”じゃなくて“太陽”にしたかったんだよね。

――アルバムのタイトル曲「Paradox」は?

▼「Paradox」=矛盾っていうものを、どういうふうに表現するか。でも矛盾を表現すること自体が、矛盾なんじゃないかっていう思いもあり。森さんが探してきた面白いフレーズが「貼り紙禁止の貼り紙こそ矛盾だ」だった (笑)。♪幸せの影を踏めば堕ちてゆく Dark Side♪なんてさすがですよね! キング・クリムゾンというバンドに、作詞家のピート・シンフィールドがメンバーとしていたように、僕の音楽のパートナーとしての森さんは、言葉を奏でるバンドのメンバーの1人ですから。

――アルバム・ジャケットは?

▼左手には青い地球が浮かんでいる。かつて宇宙飛行士が宇宙から見た地球は、宇宙一美しい星だった。今もそうあって欲しいと我々は思うけど、果たしてどうだろう? 確実にこの星は破滅に向かっている、と我々は感じている。今、世界は混迷の時代を迎えていますからね。また交差した右手には黒の羽ペンを持っている。「ペンは剣より強し」と言われていた人間の正義や良心が、時代とともに狂気をはらんできた。インターネットやメディア、フェイクニュース、ゴシップetc.etc…。時に言葉は剣よりも鋭く人の心を抉ぐる。そんな現代の矛盾を比喩した、ブラックでシュールなビジュアルコンセプトは自分で考えたものです。問題提起でありながら、未来の地球や人間の心がいつまでも美しくあってほしいっていう願いも込めたアートワークにしました。
ただそういった様々な思いはあっても、音楽は音楽ですから。ロックはロックですから! 最後のマスタリングの作業に至るまで丁寧に向き合って仕上げて、日本に帰ってきて小さなスピーカーで聴いても「36年目の布袋寅泰の最高傑作だ!」と胸を張って言い切れるアルバムです。
僕が日本の外に出て感じたことを、日本語という繊細な言葉の表現と向き合って作った音楽が、誰かとつながり、誰かと共に今を生きているということを考える時間が共有できたらいいなと思います。ただの問題提起だけで、何に対しても「NO!NO!反対!反対!」と言うのはネガティヴな力の拡散だと思うし、僕は好きじゃない。このアルバムを聴いた人が、ここに描かれた世界の危機感や、またその裏にある美しさをどれだけ感じてくれるか。
「Aquarium」の見えない壁の向こうにある本当の自由、「Blue Sky」の神を崇めるもののずるさ、なかなか言えない「アイシテル」というヒトコトや、増幅された「感情の炎」、AIに問いかけた「人間ってこの先どうなるのさ?」などのシニカルな詞と、ヘヴィーでダイナミックで繊細で泣けるサウンド、その全てを感じ取ってほしいアルバムです。

――ありがとうございました。

NEW ALBUM『Paradox』
発売日:2017年10月25日(水)

収録曲
1. Amplifire
2. Pandemoniac Frustration
3. Dreamers Are Lonely
4. ヒトコト
5. Paradox
6. Blue Sky
7. Maze
8. Parade
9. London Bridge
10. Strawberry Fieldsの太陽
11. Aquarium
12. Amplifire (Reprise)