BEAT主義日記 the principle of beat hotei official blog

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2010年4月15日

* JEFF BECK と CAROL KING & JAMES TAYLOR

国際フォーラムでのジェフ・ベックを観た。。

ブルーレイやDVDどころかVIDEOすらなかった時代に聴いたJEFF BECKのアルバム。
「BLOW BY BLOW」「WIRED」というロックギターのバイブルとも呼ぶべき作品を聴きコピーしようとしても、1音たりとも同じ音が出せなかった。
同じ6弦の20数フレットの楽器を弾いているとは思えない、謎だらけの音。
マイルスの音がそうであるように、ジェフのギターは彼の肉体そのものであり、言葉以上に歌い、叫び、むせび泣く。
いつの時代も実験的なアプローチで聴く者を翻弄し、捕らえようとしてもその鋼の翼を広げ、
遠く高くへ飛び去っていってしまう。

愛くるしいタル・ウィルケンフェルドを含む前回のバンドがあまりにも素晴らしかったので、新メンバーでのライブは一体どんなものか?と期待した。
そして今回もその期待は裏切らなかったどころか、ジェフのギターは更に円熟味を増し、高らかな音を奏でた。

「Live At Ronnie Scott's Club」やYouTubeでの昔の貴重な映像等で、謎はずいぶん明かされた。
ほとんどのビブラートはフレットを押さえる左手ではなくトレモロアームによるものだ。
右手の人差し指で柔らかく上下する。
チョーキングのかわりに右手のフローティングされたブリッジをギュッと押さえて半音、1音、時には2音近く音を上げ、そのまま指をスライドさせながら目的のフレットに到達する寸前にまたアームですくいあげるように弾くことで、まるでフレットのないギターを弾いてるような音がする。
そしてもう一つ特徴的なのは、すべてのフレーズが濁りのない単音の連続だということ。
意外と気にとめて聞いている人は少ないかもしれないが、これはとても難しいこと。
2弦を弾いているときは他の5弦がミュートされていないと音は濁る。
どうしてもどこかの弦が手や指に触れてしまい、もしくは自然と発振してしまう。
彼のプレイはバイオリンのように、的確な音のみを正確に出す、とても繊細で抑圧されたものだ。
そしてギター本体のボリュームやトーンのつまみをワンフレーズずつ細かく変えるのも、彼のギターが歌う大きな理由だ。
ささやく、シャウトする、軽快にハミングする、笑ったり、泣いたり、聴こえない声だってある。
ワイルドなギタリストの印象を与えながらも、彼は世界一デリケートなギタリストでもある。

終演後楽屋でお会いすると、いきなり

「HOW DO YOU DO!(はじめまして!)」

と言われ「えー!?先日会ったのにもう忘れられちゃったの?」とがっかりするやいなや
「冗談だよ!」と笑われた。(意地悪なところがどこかのCHARさんにそっくり(笑))

「毎日取材が多くて疲れてるよ。今夜はミストーンが多かっただろう?」と彼。
「あなたのミストーンが聴けたら、それはそれで我々はラッキーです」と言ったら笑っていた。
先日の対談で話に出たマイケル・ケイメンとの「ギターコンチェルト」のCDをお渡しした。
「新作でのオーケストラとの録音は大変でしたか?僕も『ギターコンチェルト』という作品でオーケストラと共演しましたが、タイム感を把握するのが至難の技でした」
と言うと、「え?マイケルのあれ、君がやったの?俺にも一度話がきたよ!」
と驚いていたのだ。
マイケルは天の人となってしまったが、今もこうして僕に素敵な出会いをプレゼントしてくれている。

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そして昨日は美樹さんの誕生日。

武道館へCAROL KING & JAMES TAYLORを観に行った。

二人の歌声に誘われて、走馬灯のように青春の日々が蘇る。
柔らかな陽射しのようなJAMES TAYLORのシルキー・ボイス。
「GORILLA」や「IN THE POKET」、日だまりのベッドに寝そべってよく聴いたものだ。
彼のアコースティック・ギターのテクニックはまた世界屈指の域。
難しいテンションコードをサラリと美しく弾いてしまう。
複雑なアルペジオが織りなすサウンドは、天空の小川のせせらぎのようだ。
時おり覗かせるユーモラスな一面も、どことなくウディ・アレンを思わせる。
インテリジェンスに裏付けされたユーモアに勝るものなし。

そしてCAROL KING
なんてチャーミングな、可愛らしい人なんでしょう!
名盤『つづれおり』から 「It's too late」「You make me feel like a natural woman」「You've got a friend」....。
会場を埋め尽くした「大人になった少年、少女」たちはみな、
それぞれの人生をこの曲達に寄り添われ歩んできたのだろう。
ステージの二人にとっては何百、何千回と歌ってきた定番曲かもしれない。
しかしそれらは人々の心でいつまでも輝きを失うことのない大切なお守りのような曲。
自分もミュージシャンとして、自分を高めるため、自分を超えるため、に音楽を奏でているが、
布袋寅泰という人生のいくつかのポイントで、自分と向き合い、夢を託した曲たちを、
大切に抱きしめて人生のテーマソングにしてくれている人たちがいる、ということは忘れてはならないと思う。
丸くなるのではなく、磨きあげる。
そんな思いでこれからも、皆さんの人生の大切な節々を支える音楽を作っていきたい。

二つのコンサートから、計り知れない勇気をもらいました。



ディナーでそんなことを語り合いながら

「君も死ぬまで『プライド』を歌い続けてくださいね」

と美樹さんに言うと

「うん。そうだね」

とニッコリ微笑んだ頼もしいBIRTHDAY GIRLでした。

おめでとう。いつまでも元気でいてください。

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