BEAT主義日記 the principle of beat hotei official blog

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2011年10月 5日

* ロンドンに行ってきた。


鹿児島、宮崎でのハイテンションのライブの
翌々日には機内の人となっていたのだから我ながら自分の行動力に驚く。
次の金沢公演までの数日間を使っての渡英。
目的は何かと訊かれたら

「夢を磨きに行ってきた」

と答えるしかない。

その夢の一つはいつか叶えると自分に誓った聖地ロイヤル・アルバートホールでのライブ。
実現にはまだまだ遠いもののロンドンの音楽業界の知人に集まってもらい色々意見を聞いた。
東京からも社長とマネージャーの須藤も参加。
現地で語り合うと、俄然現実感が増す。


30周年の今年は『やれる事はすべてやる』との目標通りかなりアグレッシヴに活動しているし、
来年は少し休んだ方がいいのでは?と思う気持ちも半分。
いやいや、来年からまた新しいスタートだ!夢に向かって加速するのみ!
という自分もいる。

来年、布袋寅泰も50歳になる。
最近はローリング・ストーンズをはじめロック・ジャイアンツ達の年齢を超えたパワフルな活動が目立つ。
国内でも矢沢さんや小田和正さんや浜田省吾さんなど、精力的に活動なさっている先輩たちの姿を見ると、
自分はまだまだ若い!これからだ!と身が引き締まる。

とある日の社長との会話。
「これから布袋が60歳までに何枚オリジナルアルバムを作り、何回全国ツアーに出るのかねぇ」
10枚のアルバムと10回のツアー!と即答したいところだが、なかなかそうはいかないだろう。
音楽産業は苦境に立っている。昔のようにコンスタントにCDを出せる状況にない。
仮に2年に1枚のアルバム、3年に2回のツアー考えると、僕は60歳までに5枚のアルバム、6〜7回のツアーが現実的なところだ。
その間には映画音楽やプロデュースワーク、思いもかけないセッションや海外へのアプローチなど、多方面に渡る活動もプラスされるであろう。

50歳は人生を季節で例えると、夏の終わりか、静かなる初秋か。
いずれにしても、燃え盛るような真夏の太陽の下にはもういない。

先日還暦記念パーティーにお招き頂いたビームスの設楽社長の一言が強く心に残っている。

「還暦を迎え、いよいよ男としての仕上げに入りたいと思います」

時間は矢のごとく過ぎてゆく。
困難な時代をむかえ、問題も山積みで頭が痛い。
生きていることがなんだかバカバカしく思える時もある。
そうは言っても「Life goes on」。
せっかく生まれていつかは消えるこの命。
若い頃は無茶ばかりして眩しい日々を駆け抜けた。
青春の光の残像はかすかに胸を照らしているものの、例え難い虚しさに押しつぶされそうな夜もある。
あの日の少年少女たちも父母となり、世間の風に揉まれ、挫折し,夢破れ、
不満をどこかに投げつけても自分に帰ってくることを知り、言葉は年々少なくなる。
不死身な身体などあるはずがなく、痛みと共に生きている人も少なくない。
しかし誰もが皆、人生を諦めず、自分らしく完成させたいと願っているに違いない。
幼き頃、プラモデルを途中であきらめてしまった時の不甲斐なさを、人生で味わいたくないからだ。

夢は箱に大切にしまっておいても意味がない。
時折手に取り見つめなおし、ピカピカに磨き上げなくてはいけない。
一人に一つ、必ず持ってるその玉を
どこまで放ることができるか、が勝負だ。


今回のロンドン行きはプライベートでも心に残る回想の旅となった。

長らく所有しているアビーロードのフラットや、以前独り暮らししていたノッティングヒルの街並を訪れた。

初めてロンドンを訪れた時ハービー山口氏に連れて行ってもらったマーク・ボランの亡くなった場所にも行けた。
ヒーローの死を知ったのはサッカーの早朝練習のためいつもより一便早い列車のボックス席で読んだ新聞記事だった。
僕はマーク・ボランがいなければギタリストになっていなかった。

郊外の街角ですれ違った車の運転席には、東大寺で行なわれた「あおによし」のプロデューサーが。
大声で呼び止め、車から駆け降りて抱擁。
「こんなところで何をしているんだ!?ホテイ!!!」
彼とロンドンで出会えたおかげで後に僕はマイケル・ケイメンと出会い、アトランタ五輪に参加し、
ジョージ・ハリソンやエリック・クラプトンやジョージ・マーティン、デビット・サンボーン、
数多くの伝説的なミュージシャン達と繋がりを持てたのだった。
ロンドンの名前も知らない街角で、20余年の記憶が走馬灯のように駆け巡る...。

今までの人生の中でも、いくつかのターニングポイントがあった。

高校中退、BOΦWY結成、結婚、解散、
ソロ・デビュー、COMPLEX結成、離婚、
ロンドンでの独り暮らし、世界を旅する、
世界中のミュージシャンとの交流、映画の世界へのアプローチ、
再婚、頭蓋骨骨折、
娘の誕生、30周年、そして来年は50歳。

いま僕はあきらかに新たなるターニングポイントを迎えようとしている。
そんな気がしてならない。

鹿児島のライブ前夜、20年以上の付き合いのイベンターの社長と会うと開口一番こう言った。

「布袋君!もっと上を目指そうよ。もっともっと高いところに行こうよ!」

笑顔でも瞳は笑っておらず、

「お前ならまだまだイケるぞ!お前にしかできないことがまだまだいっぱいあるぞ!」

と、叫ぶような眼差しが嬉しかった。


100年ぶりとも言われる晴天が続いた奇跡のような9月のロンドンの青空の下
現在、過去、未来が繋がった貴重な日々を過ごした。

タイムマーシーンはいらない。

昨日と明日の間を、生き抜くのみ。

GO !

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