BEAT主義日記 the principle of beat hotei official blog

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2011年12月 8日

* 30周年を記念するMEMORIAL SUPER BOXについて


先日ロンドンを訪れた際、古き友人のヴィクトリアの家に招かれた時の話。
「日本でも月額定額制の音楽配信はポピュラーなの?」
と、小さなコントローラーでまるでジュークボックスを操作するように
彼女のお気に入りのアーチストを検索し、次の瞬間にはクリアなサウンドがキッチンを満たしていた。
月極の一定額を支払うことでライブラリを共有し、好きな曲が好きなだけ聴けるのだという。
日本では様々な権利問題等が絡み実現には時間がかかるであろうが「未来は今」、
音楽の形態はここまで変わったのだ、と実感した。

1962年生まれの僕は完璧なアナログ世代。
音楽を聴く手段は、レコードを買うか(貸しレコードはなかった)ラジオを聞くか、の二者選択しかない。
ラジオをエアチェックしてカセットに録音しても、何度も繰り返し聞いているとテープは劣化し回転数が落ち
悪魔の呪文のような、海底民族の宴のような、恐ろしくも悲しい音楽と化す。
当時のレコード盤は中学生のお小遣いではせいぜい月に一枚のアルバムを買うのがやっとで
現在のようにインターネットもYOU TUBEも、フリーペーパーもメルマガもない時代であるから情報など皆無に等しく、
限られた音楽誌のレビューかレコードショップのお兄さんお姉さんのお勧めか、
もしくは超感覚的にレコードの帯の宣伝文句やジャケットのアートワークに頼るしかなく、
一枚レコードを買うということはある種の賭けに近い感覚だった。
アナログレコードは傷ついてしまったらおしまいなので、まるで宝物を扱うように慎重にジャケットから取り出し、
また、ステレオのターンテーブルにのせ針を落とす瞬間など、息を止めるのが当たり前でそれはそれは緊張したものだ。
今のようにスキップ機能などあるはずがなく、一度レコードに針を落としたら、A面が終わるまで聴くしかない。
その頃のジャケットのアートワークはぶっ飛んだものが多く、それを眺めながら
時には宇宙旅行、時には砂漠の一本道を爆走し、時にはアフリカの大地へ、そして時には夜のパリの街にワープした。
あの時、音楽に自分のすべてを委ねた時間は、僕と言う人間の大切な部分を形成した貴重な経験であることは間違いない。

30年前に運良くもバンドでデビューを果たし、念願の「自分のレコード」を作ったときの喜びは忘れられない。
発売日にレコードショップに行って、自分のレコードを目立つ位置に並べ替えたりしたものだ。
そして間もなく「レンタル・レコード」が出現した。
一人に一枚の宝物から、皆で共有できるシステムが成立し、そして今、音楽は形をなくし、
小さな端末に膨大な量の音楽が持ち運べるようになった。

ある日、所属事務所の社長が
「布袋、形ある音楽を残す最後のチャンスは今かもしれないぞ」
と、今回のBOX SETのアイデアを語り始めた。
彼の話を聞いているうちに「これは未来へのタイムカプセルなのかもしれない」と思った。
アナログレコード、CD、DVD、という僕が辿った「音楽」を、目に見える形で残したい。
スタッフとともに約一年がかりで編集、リミックス、リマスタリングを施し、
未発表の音源と映像を収録した、オリジナルアルバムだけでは伝えきれない
「布袋寅泰」という音楽家のすべてを感じてもらえる、文字通り集大成と呼ぶにふさわしいBOX SETが完成した。

まずは、ギタリズムシリーズがすべてアナログ盤として復刻された。
これは僕にとっても最高の宝物だ。

そして「架空のサウンドトラック集」には、結婚披露パーティーに参加してくれた皆さんへのプレゼントとして配った
美樹さんと二人で録音した映画「男と女」のテーマ曲や、上海オペラの為に書き下ろした10曲の舞踏音楽、
ハリウッドからオファーを受けたものの結果的にプロジェクト自体が消滅したホラー映画音楽などが収録されている。

「アコースティック集」には以前NHKでディスクジョッキーを担当していた番組で披露した弾き語りなどが収録された。

「インストルメンタル集」にはCMの為に制作した音楽が、「DANCE集」には、おなじみの曲のバージョン違いが、

さらに「ライブCD」として、昨年マンスリーで行ったリキッドルームでの緊迫感溢れる演奏や、
現在進行中の「メモリアル・スーパー・ベスト・ツアー」の模様も収録。

DVDには1998年にフランスで行われたベルフォート・フェスティバルに出演した時の映像や
ドイツのライブハウスでのショーケースの模様、それらを振り返るインタビュー。
品川ステラボールで行われた中村達也、TOKIEとの3ピースによる白熱のライブが収められている。

その他にも、すべてのシングル、そしておなじみの曲達のレアなバージョン、未発表曲などなど
詳細はホームページに記されたものを確認して頂くとして、とにかく盛りだくさんの内容である。

アートワークを手がけてくれたのはBOφWY後期からCOMPLEXのすべてを手がけてくれた永石勝さん。
凛とした美しいデザインは永石さんならではのもの。


僕の50歳の誕生日である2月1日にリリースされるこの『HOTEI MEMORIAL SUPER BOX』。

重くて邪魔で、無意味なモノかもしれない。

しかし、僕にとってはかけがえのない『宝物』なのである。

大切な人と、大切に分かち合いたい。

高価なものだけど、内容は価格以上のものであることを、ここにお約束しておく。

どうぞお楽しみに!


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